日本性差医学・医療学会

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理事長ご挨拶

 日本性差医学・医療学会の理事長を務めさせていただくことになりました東北大学の下川です。初代理事長の鄭忠和先生が築かれてきた本学会がさらに発展するように、微力ながら全力で貢献したいと思いますので、どうぞ、宜しくお願い申し上げます。

 ヒトには男性と女性の2つの性があり、生命を維持する基本的な機構には差がないものの、特に種の保存を目指した生殖機能やそれに関連する心身機能に大きな違いがあることは自明の理ではありますが、それが本当に注目されるようになってきたのは最近のことです。

 性差医学・医療の歴史は、1957年に米国の女性ジャーナリストのバーバラ・シィーマンが女性の健康を守る運動を開始したところから始まると言われています。その後、1975年に、全米で「全国女性の健康ネットワーク」が創設されましたが、1960~1970年代に起きたサリドマイド薬害を受けて、FDAは「妊娠の可能性がある女性の薬剤の治験への参加の禁止」を通達しました。しかし、1985年の米国NIHのブラント医師による女性特有の病態の研究や1991年からのNIHによる大規模疫学プロジェクト(WHI)の開始を受けて、1994年、FDAは「薬剤の治験では半数に女性を含むことを推奨する」という通達を出すに至るまでになりました。そして、1995年に、FDA内にOWH (Office on Women’s Health)が創設されて現在に至っています。

 翻ってわが国では、米国での上記のような動きを受けて、2001年に鄭先生が鹿児島大学にわが国初の女性専用外来を創設され、2004年に天野恵子先生が代表世話人になられて「性差医療・性差医学研究会」が設立され、第1回の学術集会が開催され、4年間継続されました。そして、2008年、「日本性差医学・医療学会」が発展的に設立され、鄭先生が初代の理事長として就任され、その後4年間、本学会をリードしてこられました。

 私は、専門の一つが虚血性心臓病であるところから、更年期以降の女性に多い微小血管狭心症の研究も行っていた関係で、鄭先生・天野先生に声をかけていただき、研究会の初期の段階から参加してきておりました。

 この度、鄭先生の後任として第2代の理事長を拝命し、天野先生―鄭先生の築かれてきた路線を継承するとともに、わが国における性差医学・医療の発展に務めていく所存です。本学会は、役員の欄をご覧いただくとわかりますように、実に多くの分野の先生方が参加していただいている領域横断的な裾野の広い学会です。臨床医学の全ての分野に加えて、社会医学、法曹関係者まで参加していただいております。本学会の発展には、こうした多彩な分野の役員・会員の方々のご協力が必要なことは言うまでもありませんが、さらに一般市民の方々にも関心を持っていただき、いろいろな形で参加していただけることができるような学会にしていきたいと思います。

 皆様のご協力を、どうぞ宜しくお願い申し上げます。


日本性差医学・医療学会 理事長
下川宏明 (東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学)