
この度、下川宏明先生(国際医療福祉大学)の後任として、本学会の第3代理事長に就任いたしました東京大学の秋下雅弘です。片井みゆき副理事長の助けを借りて頑張りますのでどうかよろしくお願いします。
性差医学・医療の歴史は、国際的には1950年代の米国に遡るようです。本邦でも近年になって性差や性ホルモンに関する研究が進み、2001年には鹿児島大学(鄭 忠和先生)に我が国初の女性外来が創設されました。そのような流れを受けて、2004年に天野恵子先生を代表世話人として「性差医療・性差医学研究会」が設立されたのが本学会の端緒になります。そして、2008年には「日本性差医学・医療学会」に発展し、鄭先生が初代理事長に就任されました。その後、2012年に下川先生が2代目理事長になられ、10年間本学会を率いてくださいました。
私は老年病学を本務としていますが、1990年代に動脈硬化性疾患の性差と加齢変化に着目して研究を始め、性ホルモンの作用から性差医学の道に入りました。その後、フレイル・サルコペニアや認知症の性差など老年医学領域の性差についても研究を進め、これらの学会活動が評価されての理事長就任と考えております。
性差医学・医療はあらゆる臓器・システムにまたがり、また社会学、工学など学際的で、産業界や一般市民にも関わる非常に幅広い領域をカバーします。一方で、本学会は既存の学会・団体とは重複・競合しないという稀有な存在でもあります。性差を理解せずしてジェンダー平等を達成することなどできません。皆さん、性差医学・医療について正しい情報を学べる唯一の学会である日本性差医学・医療学会に集い、性差医学・医療を究めようではありませんか。
令和4年3月
日本性差医学・医療学会 理事長
秋下雅弘(東京大学・老年病学)

この度、秋下雅弘理事長のご推薦と皆様のご承認を頂き、副理事長を拝命いたしました。秋下理事長のご指導と皆様のご協力を賜り、本学会の更なる活性化と発展に向け力を尽くす所存です。
性差医学・医療は、男女共通の病気を含む全疾患において、病気の起こり方や症状の表れ方、進展の仕方、診断や治療法、予防等における性差を、年代(ライフステージ)による変化も含め研究する分野です。当学会は、性差医学・医療に興味を持つ医療者、研究者、行政関係者などさまざまな専門家が集まり、互いの知識や研究結果を共有し研鑽する学術団体で、国際性差医学会にも加盟しています。
私は内分泌代謝内科医として性差医療に携わり、医学教育では2003年に信州大学医学部で性差医学講義を導入し現在も担当しています。2007年に東京女子医科大学が日本初の性差医療部を同東医療センターに開設し、立ち上げと女性専門外来を担当しました。その経験から性差医療をテクノロジー(ICT)で再現するジェンダード・イノベーション「WaiSE」を着想し、2019-221年度 日本医療研究開発機構AMED受託研究として開発を行い、今後の実用化を目指しております。
性差医学・医療を学び「性差の視点」を得ることで、新しい視界が開け、自身の分野に新しい局面が見えてくる驚き、楽しさ、知的好奇心を多くの方々と共有できたらと存じます。今年度から「性差医学・医療認定制度」が発足し、「性差医学・医療研修セミナー」のオンライン受講もオープンします。現会員の皆様、そして新しく参加をお考えの多領域の皆様、互いの知識や経験をシェアし、性差を考慮した医療、ヘルスケア、ウエルビーイングの発展に向け、共に歩んで参りましょう!
令和4年3月
日本性差医学・医療学会 副理事長
片井みゆき(政策研究大学院大学)