日本性差医学・医療学会

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日本性差医学・医療学会 第3回学術集会 会長挨拶

 第3回性差医学・医療学会学術集会のテーマは「にぎやかに語ろう、医学・医療を」としました。

 性差医学・医療学会は発足から3回目、研究会から通算すると7回目となり、他の学会にはない特徴を示しつつあります。例えば、性差を視点に疾病を横断的に分析するという学際性、医療時事の動向を何より大切にする社会性、議論の輪に行政官と政治家の参加を求める政策指向性等は既存の学会にみられないベクトルです。今の日本の医学・医療の世界は、時代の変革点に立っており、それを感じとっておられる方々からは、本学会の学術集会が時代の潮目を読みつくして、その課題に正面から立向っていると評価していただいています。

 一方で、純粋に学問を尊重する立場の方々の中には、学術集会が時事問題にこだわりすぎることは、単に時代に迎合している丈ではないのかと批判される方もおられると思います。なぜなら、学問にこだわる事は回り路ではない、性差医学には学術的に未知の領域が果てしなく拡がっているので、その解決こそ焦眉の課題ではないのかと。

 ゲノムやプロテオーム研究の発展は、集団についてのEBMから、個人の特性に適合した医療を目指すためのEBM収集へと新しい分野の意義を示唆しています。性差医療も“personalized medicine”の具体的な対象です。したがって、純粋に学問上の課題をしっかりと見つめることは学術集会の務めとして何等気後れするようなものではないはずという立場です。このような学術面の動向について、本学術集会はシンポジウムや特別講演の形で最新情報を呈示します。

 第3回学術集会も本学会の理念を生かして、学問の進歩と現実社会への認識や情報発信を両立させたいと考えています。したがって、会期は二日間にならざるを得ませんでした。これらは研究会の機能とは異なる所です。この欲張りな学術集会を意義あるものとするには、種々な職種の方の参加と、分野を超えた積極的な発言が望まれます。学術集会の議論が熱気を帯びれば、その坩堝のなかから、これからの性差医学・医療の取り組むべき課題が具体的に且に見えてくるのではないでしょうか。

 主催者一同は、会員はじめ、性差医学・医療に興味を持つ皆様が一人でも多く参加されることを、鶴首してお待ちしています。


日本性差医学・医療学会第3回学術集会 会長
国立循環器病センター 病院長
友池 仁暢